六字訣とは

ネガティブな感情を変容させることができて始めて、私たちは平安の中に生きることができます。自らを病気にしてしまうネガティブな感情から、自らを解放するのです。

 

この感情の変容には、特に「六字訣(シックスヒーリングサウンド)」のプラクティスがおすすめです。内臓とつながることを学び、怒りを親切心へ、恐れを優しさへ、不安を信頼へ、傲慢さを愛へ、悲しみを勇気へと、細胞レベルから変容させていくことができます。

私たちは、どんなに信じがたい状況であっても、許し、忘れ、手放すことを学ばねばなりません。タオの瞑想は、このような感情的ストレスを変容させるために最も適した方法です。

感情とは何か?

ここからは〝感情〟について時間をかけてお話ししましょう。タオでは〝良い感情Good〟も〝悪い感情Bad〟もありません。感情はポジティブ陽、またはネガティブ陰として見ていて、単にエネルギーであり、ネガティブだから悪い、ポジティブだから良いとは言えないのです。

例えば、ある人とお付き合いをしていて、そのパートナーにとても執着していたとします。しかしパートナーは同じようには感じておらず、関係は終わってしまいました。突然の別れは当然ながら、乗り越えるために時間がかかります。多くの女性は、「彼が大好きだったのに去ってしまった。なぜだか理解できない…」と、ネガティブな思考に時間を消費します。これを何度も繰り返すと、自尊心を失うことにつながっていくでしょう。そして「誰も私を愛してくれない。周りのカップルはハッピーなのに、私には良い相手が見つからない」というフィーリングを体験します。すると感情は停滞していきます。無意識に強化されたこのパターンが、人生の他の混乱にも適用されていくのです。別の例として、「周りの人たちには、子どもがいる。私も子どもが欲しいのに、なぜ私には赤ちゃんができないの?」というものなども挙げられます。

ここでの重要な学びは、許し、忘れ、手放すことです。感情を内側の細胞レベルで変容させてください。根深い不幸感の多くは、過去の感情的な傷や恐れや不安がパターン化して細胞に刻印されてしまっていることが原因です。放っておけば繰り返し、あなたという存在の中で量産されていくことにもなりかねません。

 

タオのシステムは、日々の生活の中で問題を解決するためのツールを与えてくれます。一度でも自分の内側のエネルギーの変容を体験したならば、山の中に籠って修行をしたり、隠遁者になったりする必要はありません。怒りを親切心へ、不安を信頼へ、悲しみを勇気へ、恐れを優しさへ、憎しみを愛へと変容させる時、私たちはより賢明になり、自分自身の人生を自らの力で創造していけるようになるのです。

私たちは臍の緒を通じて誕生してきました。タオでは、すべての内臓がエネルギーの中心となる臍に関連していると信じられています。ここで、下の「六字訣(シックスヒーリングサウンド)」のプラクティスチャートをご覧ください。各内臓には、それに対応している感情があることが分かると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

六字訣(シックスヒーリングサウンド)の中の一つを紹介しましょう。

もしあなたが、〝怒り、フラストレーション、ねたみ、嫉妬〟などの感情を感じたならば、「肝臓の音」を使ってみてください。

まず、人差し指と親指を向かい合うようさせて、両腕を頭の上に持ち上げます。この時、身体を少し左側に傾けると肝臓が開いて気が通りやすくなります。次に、手の間にできた三角の空間に目を向けて、肝臓の音「Shhhh…(シュー)」を発します。さらに肝臓にフォーカスを向け、同じく「Shhhh…(シュー)」の音を発声します。肝臓を感じながら、そこに息を吹き込むように行います。もしも、まだ怒りなどを感じるならば、その感情が収まるまで繰り返します。今度は、親切心や寛容さのフィーリングに同調していきます。親切心や寛容さで肝臓が満たされるまで、同じ動作を繰り返し行ってみてください。
 

一日の終わりに、この六字訣(シックスヒーリングサウンド)のプラクティスを実践してみてください。その日に出会った人たちとの会話を思い出し、感情のパターンの変容へとつなげてください。そうすることで、次に同じようなことが起きた時には違った反応ができるようになるでしょう。パターンが非常に根深い場合は、変容の実感をなかなか感じられないことがあるかもしれません。だとしても、毎夜ベッドに入る前のプラクティスとして日課にすることで、あなた自身を愛で育み、成長のためのスペースを内側に作り出してくれます。

六字訣(シックスヒーリングサウンド)を通じて感情を理解すれば、他者に傷つけられたと感じたとしても、自分の内側でその傷ついたフィーリングを観察し、受け流していくことができるようになります。ひどく気にすることは少なくなり、「もしかしたら、相手の言うことが正しいのかもしれない」などと、そこから学ぶことができるようになるのです。そして、自分の認識を変えることで、「良いも悪いもないのだ」という理解に至ります。

あなたが自分の感情を感じて変容させることを学ぶと、自らを調整し、何を求めているのかが分かり、ゴールに到達することができるようになります。反対に、ネガティブなエネルギーにしがみつけばしがみつくほど、それはあなたの奥深くへと浸透していきます。ネガティブなことを考えないようにするとか、そこから逃げるなどしても充分ではありません。

私たちの感覚はあまりにも外側に向けられ過ぎており、問題の解決策も外側で見出そうとします。しかし、感覚を内側に向けることを学ぶと、問題のすべての答えを内側で見出せるようになるのです。

 

ネガティブな状態が長く続くと、生命エネルギーが消耗され、身体にも影響が及んできます。痛み、頭痛、緊張、無感覚などに陥り、周囲から遮断されてしまいます。反対に、手放せば手放すほど、母なる地球としっかりつながることができ、健康、豊かさ、長寿などの恩恵を大地から受け取ることができます。すべての癒しは母なる地球からもたらされ、宇宙エネルギーは私たちに祝福を与えてくれているのです。

命が始まる時、私たちは完璧です。しかし、人生の道筋の中で数多くの誤った考えを蓄積し、それが私たちのシステム全体をブロックしてしまうのだと、タオでは信じられています。基本的に人生における災難の多くは、自分の感情が原因です。死には三通りしかありません。まずは事故、次に毒、つまりドラッグやアルコールなどの毒物の過剰摂取、そして三番目の原因はネガティブな感情です。私たちはある特定の思考と行動のパターンに従って生きています。怒り、嫉妬、ねたみ、あるいはフラストレーションなど、どの感情からでも結構ですので変容のためのプラクティスを始めてみてください。

自分の病気が、ネガティブな感情が原因になっているということに大勢の人はまだ気づいていません。身体に現れている症状だけには気づいていて、「なぜ病気になったのだろう?」と悩みます。内側に入って耳を傾けたり、自分自身と繋がるための時間を持ったりすることは滅多にありません。外側にばかり目を向けて過ごしている限り、例えセラピストとして活動していたとしても、クライアントに微笑みかけて問題を聞きながら、心の中では「このストーリーをまた聞くなんてうんざり。

エネルギーがみんな吸い取られて、ヘトヘトになってしまう…と感じていたりするものです。私たちの内側と外側が調和していない限り、人生は消耗されていくばかりです。自分自身に対しても他者に対しても、誠実ではない状態だからです。努力はしていますが、それは心からのものではありません。私たちの中で愛と幸福が培われると、他者の感情で消耗してしまうことはほとんどなくなります。

 

否定的な感情をリサイクルする

 

わたしたちの生活は、感情的な側面から見ると常に波乱に満ちているもので、そのために、私たちの生命エネルギーは消耗してしまいがちです。五行帰一の瞑想を行うことで、器官の生き生きとした活動を阻んでしまうネガティブな感情からくる病的エネルギーを、有用なエネルギーに変容させていくことを学んでいきます。タオイス卜たちは、徳行と善行こそが自分を癒し、自らのバランスを保ついちばんの近道であることを知っています。他の人たちに親切にすることが、同じように自分自身に優しくしてあげることになるのです。

 

私たちが創り出す好ましいエネルギーはすべて、ちょうど銀行口座に預金をするように、エネルギー体の中に蓄積されていきます。人を助け、愛や思いやり、優しさを与えてあげれば、ますます多くの肯定的なエネルギーが自分に返ってきます。ハートを開けば、私たちは愛と喜び、そして幸福に満たされます。私たちは実際、ハートのエッセンスを物質から非物質へと変成させ、この肯定的なエネルギーと混ぜ合わせて、天上でも、あるいはこの地上界でも、それらのエネルギーを活用していくことができるのです。

 

タオの訓練によってわかってくるのは、私たちがこの世界を去るときにすみやかに天上の世界に行けるかどうかは、死ぬ前にどれほどのエネルギーをエネルギー体に変容させることができるかにかかっている、ということです。ちょうど銀行にお金を預けるのと同じように、私たちの物質的な存在性を、よりスピリチュアルな存在性へと変容させればさせるほど、私たちは天国により近くなっていくのです。この地上界で善きことを行えば行うほど、よりたくさんの肯定的なエネルギーを、もうひとつの次元に持っていくことができます。

 

否定的な感情エネルギーを変容する

 

私たちの社会は速いペースで動き、ストレスにさらされるようなさまざまな条件にあふれ、おまけに、今日作りだされるゴミの量は何トンにも達して、とうてい処理しきれないほどになっている、という現状にあります。このゴミの山には、各家庭から出されるゴミくずかりではなく、私たちのからだの内部で作りだされた感情のゴミくずまでも含まれているのです。双方のゴミとも、環境から除き去るためにはいささか高くつきます。一方は、公衆衛生サービスを必要とするし、もう一方は、しばしば、医学的ないし心理学的な方法によって解決される必要があります。

引用文献:「女性のためのタオ・エナジープラクティス」ユタ・ケレンバーガー・ライヒエルト 著

否定的な感情エネルギーをリサイクルする

 

リサイクルは、エネルギーを保存する上でも、あるいは地域環境の生態系を維持していくためにも最も重要な手段であるといえます。アルミニウムの原鉱であるボーキサイトを新しいアルミニウムに加工するのに要する費用は、使用済みのアルミ缶を再処理する経費の10倍もかかっています、にもかかわらず私たちは3か月ごとに、アメリカ中にある飛行機と同じ数の飛行機を新しく造ることができるくらい大量のアルミ缶を投げ捨てているのです。ガラス、紙、プラスチックなどもみなリサイクルすることができます。

 

台所で出た生ゴミや、枯れ葉や芝生で刈り込まれた草などはすべて堆肥にすることができますが、人々は値段の高い化学肥料の方にお金を使おうとし、副産物になりうるこうした生ゴミ類を活用しようとはしません。私たちの社会では、このような問題にいかに対処したらよいのかがうまく教えられておらず、年々このゴミ問題が原因になって社会の苦悩がますます激化してきています。しかし私たちは、自分の中にエネルギーをリサイクルして保存するタオの方法を学んでいます。

ちょうど生ゴミを堆肥にかえて活用するように、怒りを愛のような肯定的な感情に変容させることなどによって、否定的な感情のエネルギーの再活用ができるのです。現在では、ネガティブな感情を親しい仲間に向けて吐き出してしまうことは、ゴミを外に出すのと同じくらいにありふれたことになっています。実際、憎しみや、怒りや、恐れを心に抱き続けていると、自分自身の問題ばかりに取りつかれ、他の人たちを案じる余裕がなくなってきます。そうすると結果的に、外側の(実物の)ゴミまでも、もっとたくさん作ってしまうことになるのです。

誰しも他の人たちに感情のゴミを投げつけたいとは思ってはいませんが、現代の世情では、私たちの心身になにかと負担がかかりすぎてしまっているために、我知らずに否定的なゴミくずを吐き出さざるをえなくなってしまう人が大方のようです。積み重なる感情的ストレスを解放するのに役立つ心理療法などもありますが、この種の解決法は費用がかかり、効果を上げるまでに時間もかかって、また必ずしも新しく出てきた心の問題に適用できるとも限りません。

 

感情エネルギーと六字訣

 

六字訣は、小周天瞑想や内笑瞑想とともに、感情や内臓のバランスを回復、維していくのに効果的な方法です。ストレスやその他の要因のために、内臓の中の温度調節機構(サーモスタット)が乱されると、臓器の中に過剰な熱が溜まってしまいます。このような状態では、その内臓に関連した否定的な感情や、その他の望ましからぬ健康上の問題が起こりやすいのです。六字訣では、からだの動きと、特定の昔、そして心のイメージなどを組み合わせ て、内臓のバランスを回復していきます。

 

内笑瞑想では、自分の内面の状態を観察し、否定的な感情を解き放っていくと同時に、各内臓の中にある徳のエネルギーを養い育てていきます。内笑瞑想も、六字訣も、ともに意念の力を用いて、私たちの内面の、言わば「天候」を変えていくという点で共通していますが、特に六字訣では、意念だけではなく、特定に動作や音を使っていくという肉体的なアプローチを取ります。意念だけを使うよりも、こちらの方がうまくいくという人や、その方がより効果の上がる病気もあります。内笑瞑想では、リラクゼーションがより強調されていますし、六字訣では、内臓の過剰な熱を追い出し、バランスを保ち、内臓の中の毒素を排出していく、という点でより効果があります。このように、心身の健康とバランスを回復していくためのこの二つの優れたテクニックは、互いに完壁に補い合っているのです。五行帰一 小周天瞑想、の基盤をしっかりと築き上げ、内笑瞑想や六字訣にも習熟すること。

 

六字訣を行う最適な時間

 

六字訣は、夜、就寝前に行うのがよいでしょう。六字訣はからだの活動をしだいに緩ませ、あなたを熟睡へと誘い、過剰な熱でオーパーヒートしていた内臓を静めてくれます。また、寝る前に限らず、六字訣は、その他のタオのエクササイズ一一一小周天とか、内笑瞑想などの効果をさらに高めるために、いつ何時でも使っていくことができます。健康維持のためには、六字訣のそれぞれの音は、一日に3回ずつ行います。各音を繰り返す場合、少なくとも、一呼吸から三呼吸くらいの聞をおくようにします。いったん身につければ、六字訣は、わずか10~15分くらいのあいだにすべての音を発することができます。

 

否定的な感情を変容させる

 

眠りに就く前に、何らかの否定的な感情が残っているのを感じたら、六字訣を使ってそれを一掃し、そのかわりにポジティブな感情を養い育てるようにします。精神のはたらきがしだいにリラックスしていくにつれて、気持ちもゆったりと開かれていくのを感じ、そして、やがてあなたは普遍的な宇宙意識とつながっていきます。就寝前に六字訣を使えば、睡眠中に悪夢を見なくなり、天の気とうまくつながることができるので、からだにエネルギーが再び満たされるようになります。あなたが何かの問題を抱えていたりストレスとか病気がある場合、この限っている問こそが、宇宙意識の助けによってこうした問題の解決策を見いだす最適の時間帯といえます。日が覚めたとき、自分の内部に微笑みかけ、内側から自然と湧き上がってくる答えに耳を傾けてみてください。

 

適切なときに、もっと六字訣を

 

特定の臓器に関連した健康上の問題があった場合、その内臓に対応した六字訣の音をより多く繰り返します。また、各季節には、その季節の五行に対応した内臓が弱くなってくる傾向にあります。ですから、季節に応じて、対応する内臓の六字訣の音をより多く繰り返すことを勧めます。秋には肺の六字訣をより多く用い、冬には腎臓の六字訣、そして春には肝臓、夏には心臓、また、各季節の変わり目の時期にあたる土用の頃には牌臓の六字訣を、といった具合です。繰り返しの回数は、3回から6回、9回、あるいは18回、といつように、3の倍数で行います。 自然界の流れに沿って、すべての六字訣を使う各六字訣の音を発する順番は、自然界の季節の移り変わりの順序に従います。いつも肺の六字訣から始め、続いて腎臓、肝臓、心臓、牌臓、そして三焦の順で、行っていきます。

疲労をなくすために六字訣を使う

 

仕事中でも、あるいは家にいるときでも、疲れていたり元気のないときに六字訣を使えば、その疲れや落ち込んだ気分を取り除くことができます。六字訣を3回繰り返す時間も一日に取れないという人でも、その日の夜遅くになって自分がかなり疲れていると感じていたなら、六字訣を、各音ごとに1回は発してください。それぞれの音に対応したからだや手の姿勢を取ることなしに六字訣を行うこともできます。また六字訣は、ほんの少しでも毎日行ったほうが、一日全く行わないよりは効果が上がります。

 

人を許す

人を許すことは、あなたが持っているネガテイブな感情を解き放つための最上の方法です。あなたの中にある怒りや恨み、失望、心に密かに抱いている傷ついた感情などに気づいてください。日常の中で、こうした感情をあなたに抱かせた人のことを思い浮かべてみましょう。そして、天からピンクの光が放射されてきて、この人を取り巻いているのをイメージしてください。あなたは自分の傷ついた感情を解き放ち、傷つけられたとあなたが思っているその人を許してあげます。こうした恨みを持ち続けていると、それが人々を傷つけるのと同じか、それ以上に、あなた自身を傷つけることになってしまいます。

許すことを学ぶ

六字訣を使って、怒りを優しさに変えましょう。これによって肝臓の気を保持することができます。怒りを持ち続けていると、肝臓が他の機能を果たすために必要としていた大量の気を、燃やし尽くしてしまうことになります。人を許すということは他の人に良くしてあげることだと思っている人がいるかもしれませんが、それは実際には、あなた自身に良くしてあげることなのです。なぜなら、人を許すことは、すなわち、あなた自身の生命力を保持することにつながるからです。

こうした問題を解決するために、内臓をオーバーヒートさせる原因となってしまうネガテイブな感情に取り組む必要があります。六字訣はそのために、とりわけ効果的な方法であるといえます。就寂する前や、未解決のままの緊張をクリアにしたいとき、あるいは、日常で否定的感情が湧き上がってきたときにはいつでも、六字訣をやってみてください。内臓が涼しい感じになり、感情が静まって、内臓からポジティブな徳のエネルギーが湧き上がってくるまで、六字訣の実修を続けてみます。これによって、気分が静まってリラックスし平安な気持ちに満たされて、あなたは眠りに落ちていくことができるのです。

引用文献:「タオ人間医学」マンタク・チア 著