タオのプラクティスの目的
タオイストのエネルギー錬成のプラクティスでは、命を次のように捉えています。この地球上のすべての人の生命は、精子と卵子の出会いから始まり、魂は父親と母親の愛の営みによって創造されたエネルギーに引き寄せられています。この交わりから最初の細胞が誕生し、最初の細胞が二つの細胞に割れ、それが四つになり八になり十六になり...。約九ヶ月の時をかけて細胞は幾度もの分裂を繰り返し、すべての内臓と感覚を伴った肉体を完成させてこの世に誕生します。「無」からやって来て、肉体を実現したのです。肉体は何兆もの細胞から構成されていて、個々の細胞が繰り返す分裂過程がない内臓機能は一つとしてありません。
「真核生物(核を持つ細胞)」のひとつひとつはみな、私たちの神経システム、消化システム、呼吸システム、排泄システム、腺システム、筋肉と骨格の構造、循環システム、再生システムに等しい機能を持っています。細胞ひとつひとつが知性のある存在で、それ独自で生き残ることができるのです。また、身体の細胞は環境から学び、細胞の記憶を保管し、問題のある箇所へとそれを伝えることができるのだそうです。これらの科学的な発見は、古のタオのマスターたちの何千年もの知識を裏付けるものです。
ここで、古代のスピリチュアル・マスターたちのシンプルかつ深淵な以下のメッセージをみなさんにシェアしましょう。
「苦しみから脱し平安と幸福へと向う道は、今生にある」
タオイストは、私たちの過去(悪いカルマも良いカルマも)はすべて私たちの肉体の細胞にあると信じています。私たちのコアの部分、特に私たちの主要な内臓器官には、祖先のエネルギーがより凝縮されていると言います。
「私たちの魂は出生後に九つの側面に分割され、「全体」または完全になるために、生きている間にこれらの異なる側面をまとめる必要がある」とタオイストは言っているのです。
私たちの魂・スピリットは、幼児のように純粋無垢で、真っ白な紙のように空っぽです。ですから、この世ですべてを学んでいかねばなりません。「スピリチュアルなプラクティス」へと足を踏み入れたい衝動にかられた時、それは、「この人生をより良いものにしたい」という魂の願望から来ています。これは、一般的な常識や教育、文化的な信念システムを超えたもので、自分自身もそれが何なのかハッキリと特定できなかったりします。望まない出来事、事故や病気の後などにこのような衝動に気づくことがあるでしょう。霊性を発達させ悟りを開く望みに、手遅れということはありません。
悟りや気づきには、次のような順番があるとされています。
第1の悟りは、「私たちが決して死ぬことはない魂を持っている」ということに気づいた時に起こります。魂は肉体に宿るエネルギーで、破壊することは不可能であり、変容することだけが可能です。
第2の悟りは、「魂のプラクティスを行う必要がある」ということを理解した時に起こります。
第3の悟りは、私たちがさらなる意識の発達を通して、魂を教育していく時に起こります。
第4の悟りは、「魂を育みプラクティスしていくために、充分なエネルギーの補充が可能なシステムを見つけたい」と望む時に起こります。
第5の悟りは、「自分の魂は誰にもコントロールされることはない」のだと理解する時に起こります。
私たちは一人ひとり、宇宙のようなものです。
タオでは「マクロコスモス(大宇宙)」の中に「ミクロコスモス(小宇宙)」があると言います。伝統的な中国医療、風水、幾何学、占星術の中にもタオの思想を見出すことができます。タオの膨大な叡智は、生涯をかけても完全にマスターすることはできません。タオイストのエネルギー錬成の一つの側面に、両極のバランスを取るというものがあります。ネガティブからポジティブへと感情のエネルギーを変容させていくのです。そして、これと同じく「気=エネルギー」を培うことを大事にしています。「気=エネルギー」を増加させると、自己治癒力は最高の状態まで高まり、あらゆる課題を達成するためのパワーが構築されます。
ここで、「気」の錬成の例えとして語り継がれている、タオの美しい寓話があるので紹介します。農夫が果実の樹を植える話です。
とても寒い冬でした。村人たちが一人の農夫の元へやってきて、「家を温めるための木を少しだけ切らせてくれないか?」と尋ねました。しかし農夫は木を切ることを許しませんでした。数年後、木は大きく成長し満開の花を咲かせました。再び村人たちがやって来て、「その美しい花を少し摘んでも良いだろうか?」と聞いてきました。農夫はそれを許しませんでした。季節が巡って、満開だった花は甘い果実を実らせました。すると農夫は、「実を一緒に食べましょう」と、村人たちを招き、みんなで果実を食べたのです
これは「気=エネルギー」を練成し、バッテリーを再チャージする方法を学べば、疲れ切って消耗してしまった時でも自分の木から果実を収穫することができるという例え話なのです。
タオの瞑想:実用的なアプローチ
あらゆる瞑想法の本当の目的は、私たちの生命力の最も高次なパイプレーションや、光や周波数をつくり出す純粋なる覚醒状態、ないしは悟りを実現することにあります。ヒーリング・タオで行うアプローチでは、生命エネルギーを集め、循環し、繰り上げて、からだのすべての機能を高めていきます。これには諸器官や線からもたらされた霊的エネルギーをつくり出すことも含まれます。ヒーリング・タオ・システムでは、思考を鎮静化するというよりは、むしろ逆にそれを活用して、からだじゅうに気が流れていくのを促し、健康と霊的成長を図るのです。ヒーリング・ライ卜の瞑想は、その他すべてのヒーリング・タオの訓練の土台として、この目的を達成すべく行われます。
気を循環させる秘訣は、数千年もの長きにわたり、いろいろな道士たちの門派によって受け継がれ伝えられてきました。中国に住み、幸運にもこうした教えの精髄となる知識に触れることができた人たちは、自らの人生の質を大いに改善することができた、という経験を享受しています。ヒーリング・タオでは、私たちが自分で自分の人生の面倒をみることができるようになるために、そうした秘訣を明らかにしています。私たちは、人生をただ騒慢に過ごしてしまった審判である死をいたずらに甘受するのではなく、自らの精神的成長を目指して生きていくことによって、自分自身にとってのマスターとなることができるのです。自分自身の生命力をコントロールする術を学んでいけば、私たちはしだいに自らの運命を操る手段をも身につけることができます。
引用文献:「女性のためのタオ・エナジープラクティス」
ユタ・ケレンバーガー・ライヒエルト 著
気とは何か
タオの思想の中でも、おそらく最も基本的かつ普遍的な原則といえるのは「気」の概念です。中国哲学においてこの概念が占める重要性は、広く知られている老子(紀元前604-511)や荘子(紀元前399-295)らの業績によって築かれてきたものでしたが、その起源は彼らよりさらにはるか昔に遡ります。気という言葉は、数多くの違った言語に翻訳されています。それらはエネルギーとか、大気、呼吸、風、生命の息吹、生命のエッセンス、その他いろいろに訳されています。気を定義するのはなかなかむずかしいものですが、気とは宇宙に存在する活動的なエネルギーである、と考えることもできます。正と負(陰陽)のエネルギーが交互に交代していくサイクルの中で、気は凝縮と拡散を繰り返し、異なった別々のやり方や、かたちや、姿をとって物質化していきます。気は創造することも破壊することもできませんが、そのかわりに自らを変容させて、新しいかたちの状態で再び姿を現します。したがって、存在しているあらゆる状態、特に物質として現れているものは、気が一時的に顕現したものである、ということがいえます。
気は、宇宙のすべての活動の源です。星星の運行も、太陽からの光や熱の放射も、私たちの思考や感情も、気があるがゆえに起こりうるのです。気は私たちの生命力の源であり、あらゆる生命を活かしている原因です。気はまた、事象をひとつに結びつけます。気があるからこそ、私たちのからだは分解したり雲散したりせずに、本来の構成状態を保っていられるのです。人間のからだが生命の息吹を失ってしまったら、元気(生命力)はからだから去っていき、肉体は腐敗し始めます。気は各器官や、腺や、血管や、その他のからだの各部分を、あるべき場所にあらしめます。からだの気が弱くなると、器官の位置状態がゆるくなってしまって、通常の場所から外れるようになり、その結果、からだの機能を弱くし、健康にも問題が出てくるのです。気はまた、からだを温めます。体熱の上昇や低下は、気の流れの強さの指標となります。私たちはよく、哨乳動物が持っている温かさを、気が存在していることを示す「活力」の証しと考えています。天地を形作る気は、本質的には、生きものたちを創造する気と同じものです。このことを古代の中国の哲学者は、次のように表現しています。
無極(大いなる虚)は気からなる。気は凝結していき、森羅万象となる。やがて事象はその必要性に従って退歩を始め、無極へと帰還していく。気が固まってくると、眼にも映じるようになり、物質的な姿を顕現する。気とは散り散りになった物質であり、これと全く同様に、物質とは凝縮された気なのである。あらゆる誕生は凝結であり、あらゆる死は分散のことである。誕生とは利得ではなく、死は損失ではない。凝結すれば気は生命となり、散ってしまえば気は変化の基層となる。張載(宋学の先駆者)(1020-1077)人間は天地の気から誕生した。天地の気が融合した存在が人間と呼ばれる。
気と自己ヒーリング
タオでは、心身の健康と癒しというものは、からだの中にある気の量と質に依存している、と考えています。銭灸も、指圧も、漢方薬も、あるいはその他のどんなヒーリング技術でも、その目指すところは、直接、からだの内面のエネルギーのバランスを回復することにあります。気とは、広範囲にわたるさまざまな身体現象の根本要因なのです。たとえば、腎臓のあたりに気が不足しているとき、神経過敏や性的抑圧、ないしはインポテンツなどに特徴づけられる心身の症状が起きてくることがあります(気は過剰でも不足していても、病気の原因となります)。
エクササイズを行うと、からだのエネルギーが加わって筋肉を強化し、より多くの気を消費する能力が増進されます。タオの道士たちが発見したところによれば、からだの主要なエネルギー・チャンネル(経脈)を開くと、気がより効果的にからだの中を循環していくようになり、また、からだの外部にある気の供給源から吸収できるエネルギーの量も増えてくる、というのです。さらにタオイストたちは、瞑想と、正しい食事、そして運動が、人生と霊的な成長にとって非常に重要な要素であると断言しています。
病気や痛みの原因のほとんどは、からだの中の気の流れがふさがってしまうことにあります。こういう状態では、本来あるべきでない場所に過剰に陽子が集まりすぎてしまいます。この現象は、からだ、の主要な経脈を通ってくる電子の流れを妨げます。このようなエネルギーの流れにふさがりがある部分をうまく開放して、気の流れを増加させてやれば、医学的な処置をしなくても、自分で自分の健康を回復させることができるのです。このように、からだを癒すために気を働かせることは、まさに「鍼を使わない」鍼治療といえるでしょう。からだの内部感覚を働かせて小周天を実施し、気を循環させて、エネルギーのチャンネルである経絡をより明確に開通させることによって、自然にからだの中の健康を保つことが可能です。小周天の実修を続けて、からだの中の自然な気の流れが促進されてくると、体内のエネルギーの滞りが開放されるばかりか、からだの外部にある気の供給源から、エネルギーをより豊富に取り入れることができるようになります。
からだの外部にある気とは、大地や太陽や星星から取り入れたものですが、これらをからだの中で生命力に変容して練り上げ、この増大した生命力を自己ヒーリングや霊的成長に役立てていくことができるのです。これらの供給源、からの気や、諸器官と腺からのエネルギーのうち、あり余った分は小周天の流れの道筋の上に点在している経穴の中に集められます。こうしたエネルギーの循環を行っていくと、からだの中の気の欠乏している経穴にエネルギーの栄養が与えられ、からだ全体の気の均衡が回復されてきます。そうすれば、もはや鍼灸やその他の治療を受ける必要はなくなるのです。このように、タオの内功は、健康維持と病気予防の方法としては最高のものといえるでしょう。
現代のタオのマスターたちも、人々が病気になってしまうほどにエネルギーが欠乏している、ということを知っています。また現代人、特にすでに重い病気にいる人に、自分のからだは自分で癒す、ということを教えていくことがいかにむずかしいのかもわかっています。しかし、それでもタオの師たちは、自己ヒーリングの仕方を教えることは、自分の治療を全く誰かに委ねきってしまうことよりもはるかに望ましいことであると考えているのです。ところが、時には自己ヒーリングのテクニックが自分自身の能力の範囲を超えてしまう場合もありますが、だからこそタオイストたちは、数多くの気の瞑想法や内丹術、意識の力を用いて行う鍼ないしは鍼を使わずに痛みと症状の原因となる気の滞りを除き去る気功の方法などを数多く編み出してきたのです。
気と瞑想
何千年もの昔、タオのマスターたちは、からだの内部を観察することによって、体内の気の中枢を発見しました。こうした体内観察は、からだを外部の環境の刺激から引き離し、深い膜想に入っていくことで為されていました。これによってからだの内部感覚を磨くことができたのです。タオのマスターたちは、このように心とからだの働きを鎮めて内部感覚を働かせていくことで、からだの中のある部位には、そのほかの部分に比べてより多くの気が集まっている、という事実を見いだしました。これらの場所は、特定の器官や内分泌、腺を滋養するエネルギーの集積ポイントとして機能しています。それらの中枢は、からだの外部の供給源から気を吸収することができます。その供給源とは、電磁気の力や大地のパイプレーション、光線や、日月星辰からの周波数や音声などを指します。無条件の愛を表す紅色や紫色の光として注がれる天からの力もまた、これらの滋養エネルギーを高めます。マスターたちは、これらの中枢をつなげていくと、からだのまわりに一つの道筋が捕かれるという事実を発見しました。それを彼らは「小周天」と呼んだのです。その当時には、今日私たちが知っているような電気という概念は存在していませんでしたが、にもかかわらず、彼らはからだの電磁エネルギーの流れ(気)に触れることができたというのです。
タオのマスターたちはマインドと内なる目を使って、この道筋に沿って気を誘導させる方法を学び取りました。彼らはこの方法を活用して自分自身を癒し整え、霊性修行のための土台作りを為したのです。内部感覚をさらに鋭くしていくにつれて、彼らは気というものをそのさまざまな供給源(日月星辰など)に応じてより分け、分類していくことができるようになりました。そして、それぞれに異なった供給源から、より多くの気を体内に吸収する方法を学んだのです。小周天の通り道は、督脈と任脈という二つの主要な経脈によって構成されています。督脈は、会陰から始まって背骨に沿って昇っていき、頭部を通って上顎の口蓋のところで終わります。任脈も会陰から始まりますが、からだの前面を通って昇っていき、舌先で終わります。舌先を上口蓋につけると、両経脈をつなげることができます。小周天は、いわば大きな気の貯水池のようなもので、滋養力にあふれる気をからだじゅうに供給します。
気の訓練を毎日行う
タオの瞑想を毎日の習慣にすると、日を追うごとに、幸福と喜び、愛と、優しさと穏やかさと勇気があなたの中に培われていきます。そして、あなたが生みだした気は、あなた自身を癒し、からだの健康をうまく保つための助けとなってくれるのです。あなたが徳にあふれたエネルギーで満たされていたら、そのエネルギーは、自然とまわりに広がり始め、あなたの周囲にいる人たちにも放射されていくようになります。あなたのそばにいると、なぜかそれまで感じていた悲しみが幸福感に変わってしまったり、気持ちが落ち込んでいたのに、いつの間にか楽しい気分になってきてしまったという事実が起こるのを、人々は不思議に思うことでしょう。内笑膜想や小周天を実践することによって、大宇宙からヒーリングの光を受けることができるようになります。人々はあなたのエネルギーを感じ、あなたがそばにいてくれることを楽しむようになるのです。
座ってこれらの瞑想を行おうとするとき、エネルギーを動かして小周天の中に流れを引き入れたり、天地の力をからだの中に吸収していったりする実修を、極めて早く学ぶことができるでしょう。あなた自身の中に気のエネルギーの存在を感じれば感じるほど、ますます容易に徳のエネルギーを増やしていくことができるのです。怒りの感情をたくさん抱え込んでいるとすればそのような否定的な気持ちを、いかに肯定的なエネルギーに変容させていくことができるかをも学びます。実修を深めていけばいくほど、ますます早くヒーリングの力が自分の中から湧き上がってくるようになるのです。
仕事中に自分自身の気や徳のエネルギーを感じる最も簡単な方法は、他の人々と互いに交流し、彼らもあなたと同じく良いエネルギーを感じ取れるように、彼らに援助の手を差し延べてあげることです。ただし、ここで私たちが覚えておかねばならないことは、決して自分のエゴを満足させるために他人の人生の中に土足で踏み込んではならない、ということです。本当にあなたの助けを必要としている人がいるとすれば、その人はいつでもそのことをあなたに知らせてくれるものです。しかし、他の人たちの役に立ついちばんいい方法は、あなた自身の人生の中で徳を体現してみせる、みんなのお手本となってあげるということです。ハートに愛を持って実修を続けていけば、みんなもあなたという実例から学ぶようになるでしょう。
日々のトレーニングの秘訣
自分の中の気を高めて維持していくために、毎日練習することは、健康を保ち、霊的に成長していくためにも最も重要な要素といえます。トレーニングを開始して、より多くの気を蓄積したら、次に、その気をいかに賢く活用していくかが重要になってきます。自分自身の生命力を破壊し枯渇させてしまうような、たばことか、アルコール、コーヒー、ドラッグ、ジャンクフードなどはなるべく摂らないようにしましょう。毎日、気を養い育てていくトレーニングには、もちろん、正しく食べ、規則正しく練習し、十分に休息をとるといった、良いライフスタイルの習慣を持つことも含まれます。
1. 毎日練習することは、生命力を養い、維持していくために最も重要です。
内笑膜想の実修を日々行うことによって、愛と喜びに満ちて、優しく、寛大で、穏やかでしかも勇気にあふれでいる感情を、毎朝、最初に味わいます。こうした良い感じゃエネルギーを、家族や友だち、隣人など、あなたの周囲にいる人たちに広げていってください。この実修は、生命力を高めます。
2. あなたの持つ生命力となっている主な要素の一つである性エネルギーを保持することを学びます。
性エネルギーを再循環させ、脳や内臓に生気を吹き込むこと刊を学びます。この具体的方法は、ヒーリング・ラブのトレーニングで学んでいきます。
3. 口数を少なくすることで、からだに気を保持することを学びます。
私たちは、気はエネルギーだと思っていますが、それはまた、呼吸とも密接に関わっています。お喋りをし過ぎると、気を浪費することになってしまいます。少なく話すことです。そして、話さなければならないときには、そのことで人を助けることができるような建設的な話のみをしましょう。
4. いつも臓のセンターと、その中の元気を意識します。
マインドを使って、臓を温かくします。これによって、生命力を高めることができます。
5. ここまで読み進んでくれば、あなたはすでに、平和というものは外の世界からやってくるのではなく、内に見いだすものであることがおわかりだと思います。少し五感を閉じてみましょう。四六時中、外側の方ばかり見回して、いつも外に何かを追いかけていると、あなたの中の気は枯渇し、マインドも弱めてしまうことになります。たまには、名声や、感覚的な刺激や、お金のことで思い煩うことをやめてみましょう。そうすれば、精神力や霊的な生命力も保持することができます。
6. 人を許すことを学びます。
六字訣を使って、怒りを優しさに変えましょう。これによって肝臓の気を保持することができます。怒りを持ち続けていると、肝臓が他の機能を果たすために必要としていた大量の気を、燃やし尽くしてしまうことになります。人を許すということは他の人に良くしてあげることだと思っている人がいるかもしれませんが、それは、実際には、あなた自身に良くしてあげることなのです。なぜなら、人を許すことは、すなわち、あなた自身の生命力を保持することにつながるからです。
7. 新鮮に蒸した野菜や繊維、水分をたっぷり含んだ食物をもっと食べましょう。
スパイスの効いた食べ物は減らすようにします。そうすれば、体内に気血をもっと保持することができます
8. 一日に、意識して50回~100回のペースで唾液を飲み込むようにします。
これによって、消化に役立つ気を増進させ、内臓を滑らかにして、適度に湿らせることができます。また、歯の損傷を防ぎ、ガスの発生を除去して、腸を良好な状態に保つことができるのです。
9. おなかいっぱいまで食べないこと。
おなかの容量の三分のこくらいまで食べて、十分だと感じたら、そこで食べるのをやめます。この習慣をつけることで、食べたものを消化するゆとりをおなかに与え、おなかと腸の気を保持することができます。
10. 思い悩んだり心配したりしないようにすること。
心配することで問題解決できるときもあるかもしれませんが、多くの場合、何かの問題に対して思い悩んでいることは、状況をもっと悪くしてしまうだけです。あなたの中の内なる気をさらに養い育てていけば、その問題に直面していくエネルギーを得ることができます。こうした態度を身につけることによって、心臓や牌臓の気を保持していけるようになります。
11. 中庸を得たライフスタイルを持つこと。
仕事でも、性生活でも、気功の練習でも、社会活動でも、読書でも、あるいはテレビを見ることでも、何事においてもやり過ぎはやめましょう。度を過ぎた活動は、あなたが蓄えておいた気のエネルギーを枯渇させてしまいます。中庸を得た生活を送る習慣をつけることで、あなたにとってより大切な活動のために振り向けるのに必要な気を保って おくことができるのです。
引用文献:「タオ人間医学」マンタク・チア 著
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