鉄布衫功とは

鉄布杉功 一 古代中国武術の技法

 

このプラクティスは、高度なレベルの霊的な気づきを発達させてくれます。スピリチュアルな次元において本質的な現象である母なる地球のエネルギーに根を張ることを、このプラクティスを通じて学ぶことができます。

 

古代中国武術の技法である「鉄布衫功(てっぷざんこう)」はおおよそ紀元前千年頃の武林時代に、防御トレーニングとして学ばれていました。このプラクティスでは、体内の気の圧を増す呼吸法を使用します。呼吸の利点を最大限に活用することで活力的なエネルギーを増加させ、内臓を強化し、自己治癒力を促すことが可能になるのです。また、循環系、リンパ系、神経系、内分泌腺が活性化され、血液、髄液、ホルモン分泌液がよりスムーズに流れます。それによって、心臓の負担も軽減されます。さらに、結果として作られた「性(創造性)エネルギー」は、後にスピリチュアル・エネルギーへと変容する可能性があるもうひとつの気の源になります。

 

「鉄布衫功 一」は、六つの静止ポーズによって成り立っています。これを的確に実践することで、内面の美しさと外側の輝きを発達させます。

東洋医学では、身体(ボディ)、思考(マインド)、魂(スピリット)といった側面一つひとつが、どのように影響し合うか常に述べられています。ネガティブな感情エネルギーは、肉体の健康においてもネガティブな影響を及ぼします。反対に、不健康であることも感情とマインドにネガティブな影響を与えます。身体(ボディ)、思考(マインド)、魂(スピリット)の関係性は相互的で、永続する循環なのです。

 

「病気になった後に健康を得ようとすることは、喉の渇きで死にかかっている時に井戸を掘るようなものだ」という言い習わしが中国にあります。つまり、健康な時に健康に注意を向けなさいということです。だからといって、病気や痛みがあっても何もできないと言っているわけではありません。私たちが健康や活力の面でどのような状態にあったにしても、開始するのは今がベストなのです。


 

鉄布衫功1(アイアンシャツ) 

 

鉄布衫功の実践は、非常に洗練された道徳とスピリチュアルな気づきを開発します。実践の一つの目標は、より高次のレベルのスピリチュアルな領域で利用するにあたり、さらに多くの気のエネルギーを保持し、物質的な領域での私たちの肉体を良好な状態に維持することです。

 

鉄布衫功は、最も重要なプラクティスの一つです。なぜならば、その実践を通じて、スピリチュアルな領域への本質的な現象である母なる大地のエネルギーの根強さ学ぶからです。鉄布衫功のプラクティスは、体内の気の圧力を高めるために呼吸のエクササイズを利用します。循環器系、リンパ系、神経系と内分泌腺が活性化され、血液、髄液とホルモンは、心臓が一生懸命働く必要がないよう、たやすく流れるようになります。

 

鉄布衫功によって、幸福の全般的な感覚がもたらされ、免疫系を強化することができます。その結果として生成された性的な(創造的な)エネルギーは、後にスピリチュアルなエネルギーに変換することができる気のエネルギーの別の根源なのです。



 

ユニバーサル・タオ・システムと鉄布杉功

 

功夫や太極拳は一般的に武術の鍛錬としてよく知られていますが、ユニバーサル・タオ・システムでは、健康法、治療技術、意識の発展段階、生命エネルギー(気)の扱い方などの側面にも着目しています。少林寺武術の一系統として知られる鉄布杉功の実修では、武術的側面によるからだ(ボディ)の鍛錬だけでなく、心と霊性を高めることが可能となります。ユニバーサル・タオ・システムの目的は、より高次の霊性の発展段階に達した際に必要な気のエネルギーを、身体レベルに蓄えるために、からだ(ボディ)を鍛錬し、それを良い状態に保つことです(図1-1)。

 

霊性の発展段階における目的は、最終的に「不死の胎児」を進化させることです。「不死の胎児」は2つの段階を経て進化します。第1段階は輪廻を断ち切ることです。そして第2段階では、「不死の胎児」を養育し、十分に進化した「不滅の神」に成熟させます。鉄布杉功は、その実修を通して、母なる大地のエネルギーへの「根づき(根基)」を学ぶという点で、身体レベルにおける最も重要な訓練の1つだと言えます。母なる大地のエネルギーへの「根づき」は、霊性の発展段階に見られる固有の現象なのです。

 

鍛錬によるからだ(ボディ)の基盤づくりや、大地のエネルギーへの「根づき」は、スペース・シャトルが宇宙を旅するために必要な、中央管制塔と発射台のようなものかもしれません。霊性の発展段階における「神のからだ」をスペース・シャトルに喰えると、それを宇宙に打ち上げるための中央管制塔と発射台が「肉体」、ブースター・ロケットは「気のからだ(魂体)」にあたります。また、それらは内部に備えられたコンパスとコンピュー夕、つまり松果体によって導かれていくのです。

 

中央管制塔と発射台に喰えられる「肉体」は、鉄布杉功の実修によって鍛錬され、スペース・シャトルの燃料となる気(生命エネルギー)と創造のエネルギーである性エネルギーの貯蔵庫となります。つまり発射台(肉体)、ブースター・ロケット(気のからだ)、スペース・シャトル(神のからだ)はそれぞれ、性エネルギー、気のエネルギ一、霊性のエネルギーの乗りものなのです。霊性のエネルギーをさらに精製し、「不滅の神」となって地球に帰還するには、それらを導き制御するために松果体を開くことを学ぶ必要があります。そのためには肉体という基盤をつくり、大地への根づきが重要になるのです。このように「不滅の神」として地球に帰還すると、大地のエネルギーへの「根づき」によって、燃料を補給し、また再び宇宙への旅をすることができるようになります。しかし十分に成熟した「不滅の神」に至れば、エネルギーの乗りものである肉体、気のからだ、神のからだは必要としなくなるでしょう。



 

なぜ「鉄の衣」を身につけるのか

 

1. 体内の機能統御

功夫(鉄布杉功の訓練)の実践に伴う肉体的変化の多くは、内臓と内分泌腺を統御することによってもたらされます。この訓練では、ヒトの生命力はまず第一に、内分泌腺、特に性ホルモンの分泌によって決定づけられるとされています。これはまさに、以下の観察から推理することができます。

 

十分に機能していた内分泌系が機能しなくなると、たとえば男性では内分泌系に属する皐丸が除去されると、ましてやそれが思春期前に行われた場合、徹底的に去勢されてしまうことになります。その結果、筋肉組織が弱くなり、女性のような脂肪のつき方になるという特徴が見られます。このことは逆に、変声や体毛、性衝動のような第2次性徴が起こらないことでもあります。男性に限らず、生殖系の機能を奪われた女性も寿命が短いことが記録されています。

鉄布杉功は、内分泌腺によって生成されるホルモン分泌を増進させ、免疫系の機能を高め、総じて健康で幸福な状態をもたらします。その結果、生成される創造的な性エネルギーは、気のエネルギーを生み出すもう1つの源泉となり、さらに霊性のエネルギーへと変容されていきます。また、内臓を浄化して強化する器官のエクササイズも、鉄布杉功の実修に不可欠なものです。内臓の強化や解毒は、現代社会の生活においても重要となります。

鉄布杉功における器官の強化では、器官に溜まった毒素や排池物、沈殿物などを排池させ、体内の結合組織である筋膜層、筋膜鞘に蓄積された脂肪を、気のエネルギーに転化することができます。その後、気のエネルギーは器官を守るクッシヨンのような役割をしている筋膜層に蓄えられます。先に述べたように、これは空気で膨らんでいるタイヤが、膨大な重さに耐えることができるのと同じ役割をしていると言えます。こうして蓄えられた気のエネルギーはその後、より質の高いエネルギ一、魂や霊性を養っていくためのエネルギーに変容することができます。

鉄布杉功の実修においては、筋膜、結合組織、器官、縫、骨、骨髄の強化を重視しており、筋肉の発達はそれほど重要視していません。


 

鉄布杉功の工クササイズ

ここで手ほどきをする鉄布杉功のエクササイズは主として、筋膜、骨格、腿に関係しています。

これら8つのエクササイズ(「抱樹粧」「手抱金盤」における陰と陽の姿勢、「金亀沈海J(陽の姿勢)、「水牛浮河」(陰の姿勢)、「鳳風朝華」、「鉄橋」、「鉄板長橋」)は49の姿勢から凝縮されたもので、生命エネルギーの道筋を最大限に発達させるという点で、明確な方法を示しています。この目的に適うエクササイズはほかにも多く知られていますが、本書の説明にある8つのエクササイズと骨格の配列を整えるエクササイズを行うだけで、さらに選りすぐった姿勢や動作から得られるのと同じメリットが得られます。これらのエクササイズは気の流れを促進させ、筋膜、臆、骨、筋肉を強化します。

 

伝統的なタオの奥義では、①気は血液を動かし(心臓の負担を軽減)、②血液は筋肉を動かし、③筋肉は鍵を動かし、④腿は接着している骨を動かす、といわれています。鉄布杉功では、筋肉、騰、骨に直接的なストレスを徐々にかけていくことによって強化します。これは幅広いアプローチを提供するとともに、副産物として、長く緊張を強いた領域を解放させる方法でもあります。また、より良い姿勢をとることで、一般的な感覚である、幸福な状態や、自信、安らぎをも得ることができます。

鉄布杉功を経験した多くの生徒は、大地に根ざしたグラウンデイングの感覚、センタリングの深い感覚に達することができたと報告しています。また、手足が冷たくなくなったと報告するケースもあります。鉄布杉功にはさらに、もう1つの利点があります。それはプネウマ(気息)の作用による効果により、別々に分けられていたからだの部分を1つのユニットとして結合するということです。この実修により、そうした幾何学的な作用を通じて力学的・構造的な作用がもたらされるという、相乗効果がますます現れてくるでしょう。

ユニバーサル・タオ・システムでは多くの型の実修を教えていますが、それらのうちの多くは個別に実践できるものです。しかし、すべての実修は相E関係があり、関連づけて実践すると最高の結果を生み出すということをよく理解することが大切です。たとえば、鉄布杉功を学んで内的なエネルギーを培う訓練をする前に太極拳の実修を試すことは、まるでアルファベットを習わずに高校に入るようなものです。つまり、鉄布杉功は、練習の基本として骨格の配列を整える太極拳のような実修の基礎ともなるのです。

多くの人々が、太極拳について誤解しがちです。太極拳の動きによってエネルギーが感じられると、そのエネルギーをさらに動かしたくなります。しかし、太極拳の型を変化させていくことは、エネルギーを動かすことよりも、心がその他の事象に向いてしまうため、型を変化させればさせるほど、内側で感じとれるはずの微細なエネルギーに気づくことができなくなってしまいます。つまり、心の活動をシンプルにすればするほど内面の働きを感じとることができるようになるのです。

鉄布杉功では、静止した姿勢のまま心を用いて気の流れを導くため、まず鉄布杉功の方法論を用いて訓練すれば、気の動かし方をよく学ぶことができます。それから太極拳の実修をすることで、型を変化させながらでも、より簡単に気を動かすことができるでしょう。

ユニバーサル・タオ・システムでは、小周天候想、鉄布杉功、太極拳を学ぶことを生徒に義務づけています。その上で、鉄布杉功で学ぶ根づきや、エネルギーの放出と制御の方法を、そのまま太極拳の型に移し変えることができるのです。

また、太極拳の実修を正確に行うための注意点は、ユニバーサル・タオ・システムの五行帰ーや炊離打座のような、膜想の実修が必要不可欠であるということです。小周天、鉄布杉功、精カンフーと卵カンフー(タオのヒーリング・ラプ)、太極拳の基本的な技法には、エネルギーを上手に扱って、からだの最も深遠なところまで届かせるようにするという側面があります。そのため、肉体レベル、感情レベル、霊性レベルでの能力を十分に発達させることに興味をもつことで、ユニバーサル・タオ・システムを全体的に把握することができます。

 


 

鉄布杉功の3つのレベル

 

「鉄布杉功1」のレベルでは、内臓のエクササイズを通して(器官と腺を覆っている結合組織である)筋膜を活性化することに焦点が置かれています。

「鉄布杉功2」では、「艇の変容」という名前で古代から知られている、腿のエクササイズについて扱っています。このエクササイズでは、心とハートの作用を活用して、腿に注意を向け、ストレッチによって腿がよく伸びるようにします。

「鉄布杉功3」では、骨の構造に働きかけて、骨髄を増加させます。古代のタオイストによって「洗髄功」としてよく知られている手順を持ち、骨髄を再生させるために、骨の空洞に蓄積されている脂肪を洗い流し、骨に創造のエネルギー(性エネルギー)を吸収させます。骨は身体の防衛機能に必要な白血球を含む、主要な血液製造器官なのです。

引用文献:「鉄布衫功 筋膜・腱・骨を鍛えるタオ気功」マンタク・チア 原著
「Tao Basic Energy Practices 日本語版」